「インターフェースデザインの心理学」001-005
インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
- 作者: Susan Weinschenk,武舎広幸,武舎るみ,阿部和也
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/07/14
- メディア: 大型本
- 購入: 36人 クリック: 751回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
技術書ばかりだったので、積み本の中から引っ張り出してきました。 そんなに文字も詰まってなくておもしろそう。
デザインというより認知とか行動とかそっちのお話の本のようです。
100の指針があるので、毎日5つと、Androidのテスト技法は毎日10ページずつ消化を目標に頑張ります。
1章 人はどう見るのか
我々は、目が物理的に受理する情報をそのまま見ているわけではなく、脳によって変更や解釈を加えられたものを見る。
001: 目が受け取る情報と脳が私たちに伝える情報は微妙に違う
脳は近道を創り出す
毎秒4000万にものぼる情報を処理するため、脳は過去の経験則によって辻褄の合う世界を構築しようとする。
- 色によって見え方を操作できる
- 暗がりでは少し視線をずらすとよく見える
- 2Dの像を脳がパターン認識して3Dの表現に変える
ポイント
- 同じ物体を見ても、他人の認識が自分と同じだと思ってはいけない。見る側の経験や知識、対象への関わりかたで見え方は違う
- 表現の仕方次第では、自分の意図とは異なる捉え方をされることもある
002: 対象の「あらまし」をつかむのは中心視野より周辺視野の役割
視野(目で見える範囲)には、「中心視野(対象を直視して詳細に見る時に使う領域)」と「周辺視野(見えてはいるものの直視していない範囲)」とがある。そして、場面全体のあらましは周辺視野で得ている。
ポイント
- 周辺視野に動く物があると気になる
- 何かに注視している時に、忍び寄る外敵を周辺視野で捉えられなかった個体は淘汰され、捉えられた個体が生き残ったという説もある
- 中心視野と周辺視野で恐ろしい画像に体する反応時間を測った所、中心視野では150ミリ秒に対し、周辺視野は80ミリ秒という実験結果もある
- 人はPCの画面を見る時に周辺視野を使う。周辺視野に入ったものを一瞥し、全体の概要をつかむ。
- 中心視野に関しては画面中央が重要だが、周辺視野に入る物も軽視してはならない
- 画面の特定の部分を目立たせる時は、点滅するもや動画を周辺視野におかないようにする
003: 人はパターン認識で物を識別する
刻々とやってくる感覚入力を素早く理解できるのは「パターン」をうまく利用しているから
ポイント
- 視覚野には、横線、縦線、端、斜め40度、といった特定の図形パターンだけに反応する細胞がある
- 物体認識には、基本的な立体(幾何形態:ジオン)を基準にしていることが明らかになっている
- 視覚野の活性度は、実際に知覚しているときよりも想像している時の方が高い
- 人は本能的にパターンを探す。グループ化や空白でパターンを作れ
- アイコンに使う絵は、シンプルな図形を組み合わせたものにする。シンプルだとジオンを見分けやすくなるため、素早く認識してもらえることになる
- 三次元より二次元のものを使う。情報は二次元の形で脳に伝わるため、三次元より認識されやすい
004: 顔認識専門の脳領域がある
視覚野は広く、脳全体に占める割合が大きいが、視覚野以外の場所に、顔の認識だけを行っている「紡錘状顔領域」とよばれる場所がある。
ポイント
- 自閉症の人は顔の識別に紡錘状顔領域を使わず、通常の経路と視覚野を使っているらしい
- 画像の中の顔が見ている方向を見る傾向があるらしい。親近感や共感を引き出すなら、まっすぐこちらを見つめる顔、何かに注目して欲しいならそちらを見ている顔を使う。
- 人間はうまれつき顔が好き
- 生きているかどうかは目を見て判断する傾向が強い
005: 物はやや上から斜めに見た形で思い浮かべる
人間は、普段見ている角度ではなく、やや上から見下ろした形で物を思い浮かべる。これを標準的な視点という。
ポイント
- 標準的な視点から見て描かれた絵や、この視点から見た物は、素早く認識ができ、記憶にも残りやすい
- アイコンは標準的な視点で描いたものを使う
いろんなプラットフォームのインターフェースやデザインのガイドラインがなぜあんな風になっているのか、ここまで読んだだけでもなんとなくわかってきました。
経験的には知っているのだけれど、こうやって活字/イメージで提示されるとものすごく楽しいです。
次回へ続く