「インターフェースデザインの心理学」011-015
インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
- 作者: Susan Weinschenk,武舎広幸,武舎るみ,阿部和也
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/07/14
- メディア: 大型本
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前回の続き
011: 男性の9%、女性の0.5%が色覚異常
ほとんどは遺伝的なものだが、病気や怪我で後天的に発症する事もある。 色覚遺伝子は大部分がX染色体上にあるため、2つもつ女性に比べて1つの男性に色覚の問題がでやすい。
赤黄緑の区別が難しい"赤緑色覚異常"が多く、青黄の区別が難しかったり、全てがグレーに見える色覚異常は非常にまれ。
色覚異常の人への影響をチェックするためのサイト
http://www.vischeck.com/ (日本語のページもきちんと表示)
http://colorfilter.wickline.org/ (日本語が化けるが色のチェックは可能)
ポイント
- 色に特定の意味をもたせる場合、線の太さや種類を変えたり、その場所を目立たせる為に四角で囲むといった、複数の体系(コード)を用意する
- 色分けを検討する場合、茶色と黄色の濃淡など誰でも区別のつく色を考える。赤緑青は避けること。
012: 文化によって色の意味が変わる
文化圏によって色の意味が異なることがあるので、カラーホイールで確認すうr。
色は精神状態に影響を与える。ただし、気分が左右されるような効果が得られるのは、その色に囲まれている場合。
ポイント
- 色は、見た人が思い浮かべる意味に配慮して選ぶ
- デザインの対象となる文化圏を選び、想定外の連想を招かないようにチェックする
2章 人はどう読むのか
全世界の成人の識字率は80%を超え、大多数の人々にとって読む事は情報伝達の主たる手段となっている。
013: 大文字がもともと読みにくいものであるという説は誤りである
読むという作業は、見かけほど滑らかなものではなく、視点は短い静止時間(約250ミリ秒)を挟んで、素早く急なジャンプ(サッカード/跳躍運動)を繰り返している。この静止時間のことを固視、または停留と呼ぶ。 サッカードの間は何も見えないが、動きが非常に速いため、自分ではそれに気づかない。サッカードの際、目は先の方を見ることが多いが、後戻りして文字や語を読み直すこともある
人が文章を読む時には、次にくる15文字程度を周辺視野で見て、意味を読み取る手がかりを数文字から拾い上げているらしい。楽譜をすらすらと読む人もサッカードと固視により、先の15文字相当分を見ている。
英語圏の人間は大文字だけの文章は読みにくいらしい(日本人がひらがなだけの文章を読むようなもの?)が、そういった文章に慣れていないだけで、練習をすれば通常の文章と同じ速さで読めるようになる。
ポイント
- 英語圏の人間は、大文字だけの文章に「大声をだしている」印象を受けるため、控えめにすること
- 大文字だけの表記は、見出しや、特別に注意を喚起する必要があるときのために取っておく
014: 読むことと理解することは同じではない
難しい文章を文字として読むことはできても、それを理解することとは別。
文章の可読性尺度を求めるのに、英語ではFlesch-Kincaid式を使う。 オンラインツールはこちら
206.835 - 1.015(全単語数/全ての文の数) - 84.6(全音節数/全単語数)
ここで、一時期ネットで流行った懐かしい文章が提示される
たごんの もじが ごゃちちごゃに いれわかってていも、
この だらんくを よめる かせいのうは あまりす。
単語の中の文字を入れ替えた文章でも読み取れるのを示す文章。
人が文章を読む時には、文字や単語を正確に読み取って意味を取っているわけではなく、次に来るものを予測している。あらかじめ持っている知識が多いほど、予想に基づいて意味を取ることができる。
ポイント
- 読むことは能動的な行為。読んだものについて理解したり記憶に残ったりする内容は、その人の過去の経験や読んでいる時の観点、事前に与えられた指示に影響される
- 文章を読む人が、その中の特定の情報を必ず記憶すると決めてかかってはいけない
- 同じ文章でも、意味のある見出しや表題をつけるだけで、次に続く文章の理解度が改善される
- 文章の難易度を、対象とする読者にあわせる。幅広く読んでもらうためには、短くてやさしい言葉を使う
015: パターン認識のおかげでフォントが異なっても同じ文字だと認識できる
ポイント
- 明朝体とゴシック体のどちらが読みやすいかの議論があるが、実際には、読み取りやすさにおいても、読む速度においても、ふたつの書体には差がないことが実証されている
- 珍しいフォントや過度に装飾的なフォントは、パターン認識を妨げるため 読む速度が落ちる
- 人は、フォントが読みにくい場合、そのうまくいかない感覚を文章の意味に転嫁し、文章の内容が理解しにくいとか、実行しにくいと判断する
色覚異常の影響のことまで等、考えてもみなかったことが書いてあったりと、いろいろ勉強になります。ものすごく楽しい本です。
次回へ続く